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災害物流専門家研修が開催されました

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災害物流専門家研修が開催されました

災害物流専門家研修が開催されました

「災害物流専門家研修」が6月24日(月)~25日(火)の2日間、富山県トラック会館において開催されました。
参加会員事業所:㈲北陸旭輸送 石川トナミ運輸㈱ 港運輸㈱ 大富運輸㈱ 森田商運㈲ 松田運輸㈱ 荻布倉庫㈱

 研修は、㈱NX総合研究所から髙橋巨樹ゼネラルマネージャー、川目俊夫コンサルタントの両氏を講師に迎えて実施されました。
 研修には、富山県危機管理局防災・危機管理課の盛田敏暉主事がオブザーバーとして参加されました。
 はじめに、富山県トラック協会の林伸治専務理事から「元日の能登半島地震により、富山県内おいても大きな被害が発生した。5か月経った今でもたびたび余震が発生し、復旧のめどが立っていない地域もある。本研修で災害時特有の知識、過去の事例を学んでいただき、大規模災害が発生した際には、その専門的知識を活かして物資拠点の効率的な運用や円滑な物資輸送にご支援いただけることを期待したい。」と挨拶を述べられました。

 「①基礎知識編」では、東日本大震災での岩手県緊急支援物資集積拠点における岩手県トラック協会の対応をまとめた災害物流記録用映像『災害物流への挑戦~岩手県トラック協会の事例~』を視聴した後、研修テキストをもとに、災害物流の基本的な流れや過去の災害において発生した課題を整理され、課題解消のため、災害物流専門家としてどのような役割を担うべきか、どのような知識が必要となるか、を参加者に示されました。
過去の災害で物流が滞留した原因として、庁舎等の物資拠点に適さない施設を物資拠点としたことや、物流に関する専門的なノウハウを持った職員が自治体に必ずしも多くなかったことを指摘され、災害物流専門家を「自治体に支援物資物流の円滑化に有効な助言・支援ができる者」と定義した上で、自治体との連携体制構築の重要性を説き、役割分担の明確化や物資管理のための帳票、システム・情報の共有、関係法令など、災害物流専門家が知っておくべき基本的事項についての講義が行われました。

 「②拠点編」では、物資拠点マネジメントにおいて必要な3つのポイント(人的・資機材・情報)について、物資拠点として使用する施設や組織体制における役割等を例示、「富山県物資拠点運営・輸送マニュアル」の内容に触れながら説明されました。物資拠点の開設にあたっては、候補地の立地や構造・設備などの長所・短所を把握・考慮した上での選定が重要であるとし、東日本大震災における岩手県の産業展示場活用例、平成28年熊本地震における熊本県のサッカースタジアム・農協の集果場活用例などを見ながら、選定後の拠点内レイアウトとその留意点について紹介されました。また、実際に拠点内で行う物資の入出荷や保管・在庫管理といった業務における留意点についても言及されました。

 「③輸送編」では、輸送の手配において、災害物流専門家に求められるのは、自治体が指示した支援物資の輸送に必要な車両の種類や台数等に関する助言と支援であるとし、行うべき各種の輸送マネジメントについて紹介されました。
物資の内容に加え、集荷・配送先の荷役環境なども考慮した上で車両の選定を行うなどの「車両マネジメント」、ツーマンでの運行や、被災した地域の道路に精通した地元ドライバー、フォークリフト免許を有するドライバーを活用するなどの「人的マネジメント」を筆頭に、輸送手配に必要な荷物情報や交通情報などの把握・連絡・記録といった「情報マネジメント」、災害時に注意が必要な「燃料マネジメント」と多岐にわたるマネジメントとその手法について説明されました。実際の輸送については、配車や荷役環境の確認・周知といった事前準備から実施まで、その手順や注意すべき点を解説され、緊急通行車両確認標章の申請のほか、道路混雑時における警察車両による先導要請等の警察との連携など、災害時ならではの輸送手配や対応についても学びました。

 「④自治体対応編」では、自治体とどうコミュニケーションをとるべきかについて解説されました。自治体対応においては、発災前に「事前の準備」を行うことが肝心であると指摘され、自治体の人事異動の多さや、発災時に自治体の防災部門が救命救助等、緊急性の高い業務に回り、支援物資業務に関係のない部署が支援物資業務を担当するといった不測の事態に対応するために、自治体の支援物資業務のマニュアル作成を助言、支援することの重要性を説かれました。

 グループ演習では、参加者を4~5人程度のグループに分け、研修で学んだ災害物流の知識をもとに、「物資拠点レイアウトの作成」について討議、発表を行いました。拠点施設の概要及び条件をもとに、保管する物資を品目毎に、搬入から搬出までを想定したレイアウトを作成し、必要な資機材、保管及び作業動線のレイアウト作成理由、安全面で配慮した点などについてグループ毎に発表を行いました。講師からは「物資拠点のレイアウトは災害発生直後の受け入れ態勢としては良い。物資拠点は発災からの時間経過によってレイアウトの変更が必要になる。」と講評を受けました。

 研修終了後には、公㈱NX総合研究所から髙橋巨樹ゼネラルマネージャーから受講者に修了証が授与され、受講者は災害物流専門家研修修了者としてデータベースに登録されました。登録は個人ベースのため、転勤・転職した場合もデータベースに反映されますので、実際の災害において被災地に派遣する災害物流専門家の選定等に活用されます。

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